
撮影スタジオは都内各所に設置されている。
ドラマ内容のセットは、教室だったりオフィスであったりと用途によって場所を使い分けるものだ。
しかし、デート物やハメ撮り物にはロケーションとして遊園地やショッピングモール。そして都内のラブホテルなどが必要不可欠である。
時は2005年8月猛暑の頃である。
デビュー当時(汁男優時代)から可愛がってもらっていた監督のSさんは、人気ハメ撮りシリーズを撮っていた。
Sさん
彼は大手メーカーの社員監督を経て、独自に会社を設立した一年目のことだった。
内容は至ってシンプル。
場所は池袋のラブホテル。
(※画像はイメージです)
そこは撮影の為に利用許可が取れている場所だ。
部屋も混み合っていなければ大抵決まって305号室の広めな空間を利用していた。
そして一日のスケジュールはこうだ。
先ずは、監督Sさんのハメ撮りを60分一本勝負!
その後、俺の絡みを60分監督が撮影して終了。
サービスタイムに正味3時間もあれば撮り終える現場だった。
キャスティングする女優は、全てデビューしたばかりの二十歳前後。
制服を着せた援交物と、俺のカップル設定の二本立てだ。
当時S監督が40代で、リアルを追求した内容がウけていた。
ありがたくも月に2~3回はレギュラーとして呼ばれていた。
撮影時間が読めるごく僅かな現場の一つだった。
そんな撮影を繰り返して、約一年が過ぎようとしていたある日。
その日も決まった時間に呼ばれていた。
余程のこと(女優が飛ぶ、リスケ、バラシなど)
が無い限り、流れ作業のように仕事をこなすのである。
フロントに挨拶をして、いつものように305号室に向かって行った。
ブザーを鳴らすと、タオルを巻いた女優が出てきた。
当時放送中のbeach boysに出演していた、広末涼子に似たショートカットで可愛い子。
ラッキー!!
心で叫ぶ!!
このシリーズは、ピンキリでハズレも多い~
「お疲れ様。終わった?」
「お疲れ様です。終わって監督寝てますよ~」
一戦終えて、裸のままベッドで寝ている監督の姿が見えた。
背中の刺青は、Sさんの特徴である。若い頃にヤンチャして彫ったらしい。
その為か、背中が映らないハメ撮りは御誂え向きだったのかも知れない。
S監督は40代と言うこともあって、絡みの前に必ずViagra100を一錠服用していた。
当時Viagraは、50と100があり錠剤の大きさを示している数字である。
「ハメ撮り60分を勃たせっぱなしだから、この歳にはキツイ!」
などと良く言っていた。
時には事を終えたばかりで、真っ赤な顔して肩で息をしてることもあった。
俺も一度服用したことがあるが、Viagra50を更に半分に割っても心臓バクバク、鼻詰まり、頭痛の副作用があったりした。
※個人差があるので全てでは無い
それを100で一錠!しかも常用ときたら、勃起はハンパないのであろうが身体は心配だ。
「私シャワー浴びて、メイク直しますねー」
彼女はバスルームに向かった。
外は30度をこえる猛暑日で俺も汗だくだった。
エアコンが効いた部屋でソファーに座り、当時吸っていたVirginia slimに火を付けた。
静かな部屋にジッポを開閉する金属音が、やけに大きく聴こえた。
ふぅー暫くゆっくり寝かせてあげよう、、、。
こういった少人数現場にはメイクさんや、衣装さんなどはついておらず、女優が下着から衣装、メイク道具全て用意するのが決まりだった。
\ガチャ!/
自メイクを終えて着替えた彼女が出てきた。
制服姿も似合っていただろうが、派手なキャミにミニスカート姿もまた俺の性欲を掻き立てる。
俺がシャワーを浴びてる間にゆっくりしてもらうことにした。
「監督起こします?」
撮影準備もあるので、頃合いを見て起こしてもらう事を告げた。
真夏の現場は大変だ。外はもちろん灼熱。スタジオやホテルはエアコン効いて涼しい。
と、思いきや
音声の関係で絡み中は消すのが鉄則であった。
絡みを終える頃には、、、全身ビショ濡れの汗。死ぬ程の息遣い。
一キロは痩せたのでは無いかと思うほどであった。
決して楽では無い。
水に近いぬる目のシャワーを浴びて汗を流す。
あの子どんな身体しているのかなぁ~などと妄想していた、、、。
…ドタドタッ
\ガチャ!!/
ドアが勢いよく開いた。
「すいません!ちょっと、監督がー、、」
えっ?起きない??
タオルを腰に巻いてベッドへ。
「Sさん!ちょっと!」
裸のSさん肩を揺すってみる。
しかし、反応が、、無い。
逆向いている顔を覗き込んだ、、、。
眼と口が半開き、、、?
息は、、?
してない、、
えっ?
Sさん!
背中を叩く!
無反応で肌が冷たい、、。
ヤバイ、、救急車だ。
彼女は、ペタンとその場に座り込んでしまった。。
そう、恐れていた事態が起きてしまったのだ。
Sさんとの別れがこんな形で訪れるとは、誰が想像したであろう。
勃起薬常用により、心不全を起こしてしまったのだと後にわかった。
家族葬であった為、その場が本当の別れになってしまった。
悲しみはもちろんだが、リスクを背負ってまで約一年間、監督自ら若い女優を抱き死に至った。
ある意味、幸せだったのでは無いかと思いたい。
俺が2絡みやりましょうか?と、肩で息しているSさんに聞いたことがある。
「いや、大変なこともあるけど、、俺も好きだからさぁ~」
と、照れたSさんの顔を今でもたまに思い出す。
そうなのだ!
死ぬなら腹上死!
業界人冥利に尽きる!
いやいやいや~
ダメダメダメ~
やだよ~
死にたく無いし!
薬を飲まなければ勃起が不十分であるなら、
その時こそ引退だ!
そう、心に硬く誓ったのだった。
Sさん!あの時は色々ありがとうございました!
あなたとの一年間は、俺にとって本当にいい思い出です。
今更ながら、ご冥福をお祈りします。
あの世でハメ撮りしているSさんの姿が脳裏に浮かんだ、、、。
おわり